オーディオの実験評価のために必要なスキルとは

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メールでスキルアップ相談「そうだんくん」Q&A紹介

Q15. オーディオ・ハンズフリーなどの実験・評価のためのスキルアップ方法を教えてください。

今年3月までは、ナビ関連の実験・評価の業務をしていましたが、 4月より部署内の体制変更などもありまして、オーディオ関連(音質のチューニング、アンテナのチューニングなど)、ハンズフリー機器、車載カメラの業務を担当することになりました。
配属先企業としては特定の業務に限らず、受注プロジェクトにおける全ての分野のスキルを身につけてもらいたいということで、今回は派遣社員だけでなくプロパー社員も同様の変更となっています。カメラなどは、一つ前の派遣先で多少の知識はあるものの、オーディオやハンズフリーなどに関してはほとんど知見がありません。配属先の話では、わからない事は前任者に聞いたり、課内教育もするので勉強しながらやってくれと言われていましたが、その通りにやっていては時間がいくらあっても足りません。段階的にいろいろ勉強するのは当たり前ですが、まず第一歩として何から始めたらよいものか迷っています。
こんな事からはじめたら・・・というようなアドバイスをお願いいたします。

質問レベル(中級)
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自動車メーカー就業中の方より


A15.ご相談にお答えします。

前職ではカーオーディオメーカーで開発設計、品質管理、カスタマーサポートなどを30年ちょっとしていました。
早速ですが、相談内容によりますと、ナビからオーディオまでを扱うとのことですので、自動車室内の重要なアイテムの実験、評価を総合的に担当されるということだと思います。 MMI(マンマシンインターフェース)の要部分の評価ですから、やりがいのある仕事になるのではないでしょうか。
基礎知識としては、それぞれに使われる装置について知る必要があると思いますが、評価業務の部分では、顧客(実際に使う側)の立場に立った評価が重要になってきます。ユーザーは、エンジニアが想定しないような使い方をする場合がよくあるので、そのような場面の想像力(感性)なども必要になってきます。ですから回路が理解できるとか、スピーカーから出る音の車内伝搬の仕方が解るというのも必要ですが、顧客に受け入れられるものづくりとしては、前者の部分が非常に重要な要素となってきます。
最近では、機器の物理的な性能はデバイスの発達と共に、各社の優劣は小さくなっています。周波数特性、S/N、歪率などはほとんどないと言ってもよいくらいです。それ故に、操作性、エンターテイメント性、音が心良い、デザインが良いなど、感性に訴える部分とソフトウエアが他社との差別化のポイントになります。顧客満足度に軸足を置いた実験評価が重要という意味ですね。

参考になりそうな項目について以下に記述します。


1.オーディオ関連知識

  • 音の入り口としては、CD・カセット・MD・MP3などのデジタル再生技術の知識
  • 音質に関しては、オーディオアンプ、トーンコントロール、イコライザ、アンプの周波数特性、DSP等の音場の再生技術など
  • スピーカについては、マルチスピーカの位相、クロスオーバー周波数、周波数特性 (f特)、車室内の吸音特性、車室形状による定在波(特定の高さの音が強調されたりする特性)、スピーカの構造による種類、車室内の内張りに使われる素材の音響特性など
  • ハンズフリーについては、マイクの設置場所、マイクの指向性、音の回り込み、携帯電話などの場合の音の回り込み、携帯電話固体との相性など
  • アンテナについては、電波受信の指向特性、V,UHF帯あるいはそれ以上の周波数帯での電波の性質、金属車体のアンテナエレメントに対する影響

2.各ユニットの組合せ時の注意

おそらく部品会社に生産委託したユニットを扱うと思います。ここで注意すべきは、希にごくわずかな仕様の違いにより不都合が発生することです。これは、仕様書に書ききれない微妙な行き違いで発生する不具合ですが、製品の品位を左右する重要な事項です。 例として、

  • スイッチなどを切り替えた時のポップノイズ
  • 他のファンクションの音が漏れてくる
  • 各ファンクションの立ち上がり時間(音が出てくるまでの時間)がバラバラ
  • 他のデジタル機器のノイズが飛び込む(電源ライン経由や直接電波で飛んで来る)
    ⇒これはレーダー探知機などユーザーが後付けする機器なども考慮しておく必要がある。
  • 合成音声を使用する場合は、その音の自然さ
  • ハードデスクに録音された音楽再生で、ランダム再生に規則性がある。

物理的な問題では、

  • ボタン類が押しにくいなどの操作性
  • CDの排出量が少ないため、手で取りにくい(車体のインパネ形状も問題になる場合がある)
  • 操作中に怪我をする要素がないか?(動く部分に指を挟む、外装部品のシャープエッジやバリなどで手を切る)
  • 照明が眩しくないか、光漏れがないかなど
  • 再生音に関しては、ロードノイズを考慮した音
  • 表示画面の見易さ、ピクトの見易さ
  • 樹脂成型品のヒケ(収縮の際にできる窪み)、ウエルド(成型時に発生する線状の模様)
  • メカの動作音がうるさい

3.実走に近い実験評価段階での注意、他社製品との比較による評価

実際に使われる状態での評価が重要です。

  • 再生の周波数特性や位相特性など最終確認
  • 携帯電話ハンズフリーの使い勝手の確認(聞きやすさ、ハウリングの状態、携帯キャリア別の確認)
  • 機械的な操作音、ビリつきなど

4.その他

評価という意味では、製造での組み立てやすさ、サービス(修理)のし易さなども含まれます。また、企業には過去のトラブルがデータベース化されています。開発のシステムに組み込まれていると思いますが、過去に発生したトラブルが再発しない設計や生産方法になっているかをレビューされるとよいと思います。それと、カスタマーサポートのデータがある場合はそれも判断の基準になるでしょう。最終的な判断は、市場性、生産性、その時代の技術レベル、コストなどを総合的に判断して、評価の合否を決定することになると思います。また、カーオーディオというジャンルの通信教育は、私の知る範囲ではありません。設計などに特化した講座や販売店系向けの一般的な講座になってしまうと思われます。また、書籍ではカーオーディオでは雑誌系の特集などでユーザー向けに出ているもの以外は個別のテーマになっているようです。例えばデジタルアンプ回路、スピーカーなどです 現在の配属先は大手メーカーのようですので、業界でも最先端の技術に接していると思われます。ということは書籍などでは得られない要素技術もたくさんありますので、企業内での教育、先輩にヒアリングするなどが重要です。企業側もそのような育成方針のようですのでどんどん質問することをお勧めします。特に、ノウハウにあたる部分はOJTにより学習するのが一番です。

【参考書】

  1. 基礎 音響・オーディオ学 コロナ社 小泉宣夫 著 \2,625
  2. わかりやすいオーディオの基礎知識 オーム社 加銅鉄平 著 \2,500
  3. 音・音場のデジタル処理 コロナ社 日本音響学会編 \3,465

以上、参考になりましたでしょうか。
書籍は、高価ですので、書店等で内容を確認してください。お役にたてれば幸いです。
ステップアップの機会と思われますので、ぜひ頑張ってください。


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